マイク・スタンドについて

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スタジオに必須の備品の一つにマイク・スタンドがあります。マイク本体やアンプやキーボードのようにダイレクトに音色に直結する機材ではありませんので軽視されがちですが、実は物によって使用感や耐久性に大きく差があります。しかも一度購入するとそんなにしょっちゅう買い替えるような機材でもありませんので、導入する際にはよく製品を吟味したいものです。今回はそんなマイク・スタンドについて解説します。

マイク・スタンドの基礎知識

マイク・スタンドの必要性

お客様がマイクを使う業態としてスタジオ以外では例えばカラオケ店等があります。カラオケ店のマイクはワイヤレスで充電が必要な機種であることがほとんどですので使用中以外は充電用のスタンドに置かれていますね。歌う時は手に持つことが多いので、各部屋には基本的にはマイク・スタンドは設置されていません。ただ、スタジオの場合はギター等の楽器を弾きながら歌うということが想定されますので、カラオケ店と違ってマイク・スタンドは各部屋にデフォルトで置かれている必須機材なのです。また、カラオケ店でも最近は楽器演奏可のお店が増えてきていますので、そういった所では受付でマイク・スタンドを貸出していたりもします。

では、楽器を弾きながら歌ったり楽器の音を集音したりすることが考えられるスタジオではどのようなマイク・スタンドを用意しておくのがベターなのでしょうか。実はマイク・スタンドにもいくつか種類がありますので、まずはそれを見てゆくことにしましょう。

マイク・スタンドの種類

マイク・スタンドはその形状によって主に以下の種類に分けられます。

  • ストレート・タイプ
  • ブーム・タイプ
  • 卓上タイプ
  • その他

絵で見てもらった方が分かりやすいかもしれませんね。

マイク・スタンドの種類 の絵

この絵では左から順にストレート・タイプ、ブーム・タイプ、卓上タイプのマイク・スタンドが描かれています。順番に説明していきましょう。

まずストレート・タイプですが、これは棒が垂直にまっすぐ伸びています。そしてその棒は伸び縮みすることができるようになっていますので、それにより高さの調節ができます。

ストレート・タイプ の絵

主に楽器を弾かずにボーカル専門の人が使うことが多いです。矢沢永吉さんが振り回している使っているイメージですね。(矢沢永吉さんのは本人専用の物なので高さ調節は無いようですが。)

次はブーム・タイプです。ブーム・タイプの特徴は、二本の棒がT字型に組み合わさっていて角度の調整ができるということです。

ブーム・タイプ の絵

このように角度をつけることで、ギターを弾きながら歌う場合でもギターがマイク・スタンドに当たりにくくすることができます。さらにボーカル以外の楽器の集音に用いる際も、角度をつけることができるおかげで入り組んだドラム・セットの中の特定のシンバル等を狙うためにうまく立てたりすることができます。また、もちろんストレート・タイプと同じように高さの調整もできます。ボーカルにも楽器にもオールマイティーに使用することができるため、スタジオはこのブーム・タイプが主に用いられることになります。従って当ページで紹介する製品もブーム・タイプが中心になります。

なお、ブーム・タイプにはその基本的な高さによっていくつかの下位分類があり、

  • ショート・ブーム
  • 標準ブーム
  • オーバーヘッド・ブーム

等に分かれています。ショート・ブームはこの中で一番高さが低いものであり、ドラム・セットのバスドラムやギター・アンプの下部のスピーカーのように地面に近い位置にある楽器や機材の音を拾う際に使われます。逆にオーバーヘッド・ブームはこの中で最も高さが高く、ドラム・セットのシンバルを上から狙う場合等に用いられます。そしてこの二種類の間の高さのものが標準ブームです。中程度の高さですのでボーカル用マイクをセットするのには主にこちらが使われますし、また、ショート・ブームやオーバーヘッド・ブームの代わりに使うことも概ね可能です。従って、スタジオでまず導入すべきマイク・スタンドはこの標準ブームのタイプとなります。当ページで紹介するブーム・スタンド製品もこの標準ブームです。

ストレート・タイプやブーム・タイプ以外では卓上タイプというものもありますが、これはその名が示す通りに机の上に置いて使うタイプのマイク・スタンドです。機構としてはストレート・タイプと同じく高さ調節ができるものや、グースネックというある程度フレキシブルにクネクネと曲がるアームになっているものがあります。

卓上タイプ の絵

演奏というよりはトークを収録するのに使うイメージですね。オーソドックスなリハスタではあまり出番は無いかもしれませんが、動画配信の収録等に使われるお客様が多いスタジオだとよく用いられるでしょう。通常のリハスタでも貸出用に一つ置いておくのもいいかもしれませんね。

では、ここからは標準ブーム・タイプを中心に実際のマイク・スタンド製品を見てゆきます。

おすすめのマイク・スタンド

マイク・スタンドも他の機材と同じく大手オンライン・ショップ等から安価なプライベート・ブランド商品が出ていますが、正直おすすめはしません。マイク・スタンドはシンプルな機構である分、製品の質が使用感に如実に表れます。まず、安価な製品は軽いものが多いです。軽いというと良いように思われるかもしれませんが、ことマイク・スタンドに関してはそうではなく、あまり軽いとマイクの重みで倒れたりしてしまいます。だいたい2kgぐらいはあるものを選びましょう。また、安物だとマイクの重みでアームがどんどん落ちていったり(いわゆる「お辞儀」)して、設置位置の調節に苦労します。これは新品のときはまだましなんですが、部品の材質があまり良くないせいか少し使いこんだだけですぐにヘタってきますので、少なくとも業務用として導入するのは避けるべきでしょう。高さ調節機構もなんだか締まっているのか締まっていないのか分かりづらく、演奏中にちょっと触れただけでストンと落ちてしまう可能性もあります。

そして何よりネジ系部品の摩耗がとても早い! 安物だとすぐにネジ山が潰れてしまうため頻繁に部品交換が必要になりますので、それをいくつもストックしておく必要があります。まぁそのように不具合がでていればその度に直せばいいともいえますが、機材が良好な状態から不具合のある状態に移行するのは当然ながらその機材の使用中であり、つまりはお客様が使っている時です。使用中に不具合が出る頻度が高いというのはお客様に対してストレスを与えてしまうことですから、それはサービス業としては避けるようにしなければなりません。やはり機材は信頼できる物を使うべきでしょう。

では信頼度の高いマイク・スタンドは何かというと、やはりTAMAの製品とK&Mの製品です。他にはaudio technicaやキクタニといったブランドにも良い製品はありますが、実際にライブ・ハウス等の演奏の現場で私が見かけた(つまり使った)ことが多いのはTAMAとK&Mであり、その経験も踏まえてということでここではTAMAの製品とK&Mの製品を紹介します。

TAMA 『MS205』

プロの現場でも使われる定番ブーム・スタンド『MS205』です。

TAMAはさすがドラムのブランドだけあって、ドラム・セットで用いられる堅牢なスタンドの技術がマイク・スタンドにも存分に発揮されています。重さが3.2kgあり、安定感抜群! 多少重いマイクをセットしたぐらいでは倒れたりしなったりしません。そして何よりもこのMS205が素晴らしいのは、調節機構の締まり具合が最高なのです。高さ調節部分とブーム角度調節部分の二箇所なんですが、軽い力でキュッと締めるだけでしっかりと固定され、緩める時も軽く戻すだけでスムーズに動かせます。どこぞの安物マイク・スタンドみたいに力の限りギュウギュウに締めても動いてしまうようなことはありません。超個人的な感想ですが、MS205の固定/緩めの「キュッ」は非常に快感なんです(笑)。ストレス・フリー!

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またMS205はクロームメッキ仕上げですのでキズや汚れが目立ちにくいのも良い点です。多くの人が取っ替え引っ替え使うリハスタにはうってつけですね。なお、MS205の色違いバージョン(黒)として『MS205BK』という製品もあり、こちらはブラック・フィニッシュなので照明の反射が抑えられるためライブ・バー等のステージで使うにはこちらもおすすめです。

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K&M 『21020 (ST210/2)』

次点でおすすめするのが『21020 (ST210/2)』です。

K&Mはドイツのメーカーで、楽器用スタンド等も製作しています。『21020 (ST210/2)』は世界標準とも言われ、「スタンドはK&Mでないと認めない!」という人もいるそうです(笑)。確かにライブの現場でもよく使われていますね。

こちらもシルバーとブラックがあり、↑の『21020 (ST210/2)』がシルバー、↓の『21020B (ST210/2B)』がブラックです。

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KIKUTANI DS-28

リハスタ用途のマイク・スタンドとしては標準ブーム・タイプが基本になりますが、上でも述べたように貸出し用等で卓上タイプもあって損ではないので一つ紹介しておきます。KIKUTANI(キクタニ)の『DS-28』です。

卓上タイプには今のところ業界標準というかデファクト・スタンダードの製品は決まりかねている印象があるのでこちらはどちらかというと個人的におすすめの製品ということになります。ただKIKUTANIというメーカーは定評があり、マイク・スタンドの分野においてはTAMAやK&Mに負けず劣らずファンがいます。

このDS-28はグースネックのタイプで首(というかアーム)を使いやすい角度に曲げることができます。グースネックというのは安価な粗悪品だと曲げた位置で上手く静止できなかったり、逆に硬すぎて調整が難しかったりします。その点こちらのDS-28は手頃な価格の割にはしっかりとしていて、また下の部分のおもりも丁度良い重さで、コスト・パフォーマンスにも優れていると言えるでしょう。

まとめ

今回はスタジオで最低限準備しておきたいマイク・スタンドについて解説しました。マイク・スタンドのような周辺備品は音楽演奏をしない人にとっては軽視してしまいがちですが、演奏者(=お客様)は実はそういうところもしっかりと見ているものです。決して激安プライベート・ブランド商品でお茶を濁すのではなく、最低限しっかりと使える物を用意しておくようにしましょう。

なお、今回はマイク・ホルダーとネジについては触れませんでした。マイク・ホルダーはマイクによって異なることが多いため、マイク・スタンドには付属しないことが普通です(ある程度汎用的な物が付属する場合もありますが)。したがってマイクを買った時に付属しているものを使ったり、あるいは必要に応じて別に購入したりするものなのですけれど、当ブログでおすすめしているSHUREのマイクの場合は基本的にマイクに付属しています。また、マイク・ホルダーをマイク・スタンドに取り付けるネジについては規格が複数あるため、こちらについてはいずれ稿を改めて解説しようと思います。

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